桜の花が散る頃、山椒が新芽を吹き始めると、梅雨入り位までの間慌ただしくも
楽しい山椒仕事に追われます。
緑が濃く、まだ艶々している柔らかな新芽は、筍の牛脂焼きに添えたり、浅炊きや
木の芽味噌に用います。
雄花と雌花がはっきりしてくると、急いで雄花を摘みます。お料理やデザートの
あしらいにすると小さな花火のように可愛らしく、食むと爽やかな香が口いっぱいに
拡がります。
G.W.の頃(山の山椒は、ひと月後)、まだ柔らかい緑色の実(雌花)を摘み取ります。
小枝に分けるのはひと苦労ですが、初夏の訪れを感じるこの作業が大好きです。
ローストビーフやステーキの甘みをきりりと引き締める、実山椒の清々しい香と辛みを
閉じ込めて、いつでも味わえるように塩漬けに仕込みます。
秋に実が熟して、割れた皮をミルで粉山椒にするために、今年も枝に実を少し残して
おきました。
四季を通じて食に彩りを添えてくれる山椒と、先人達が伝えてくれた知恵に日々
感謝です。
ラグタイムのお食事の中にも少しずつお出ししていけるように、山椒仕事、コツコツ
励んでおります。