ステーキやローストビーフ、冷凍のおむすびを召し上がっていただく時に添えてお出ししている薬味の一つに、自家製の"実山椒の塩漬け"があります。
季節により、和歌山から青森まで、幅広い産地のものを扱いますが、最も多くお出ししているのは、富士山の麓の、とある木立産です。
30年ほど前に、両親がその木立に移住し始めた頃、熊?などの外敵の侵入避けに敷地の周辺に山椒の苗木を植えたと聞いています。
毎年5月になると、母が新芽をどっさり摘んで浅く炊いたものを作っては送ってくれていました。
次第にその味に親しみを覚え、春になると母と一緒に新芽を摘むようになりました。
ラグタイムが今の場所に移転してきた時に、勝手口に父が山椒の苗木を一本移植してくれました。
山椒の木がいつ頃から実を付け始めるようになったのか 記憶が定かではないのですが、ある日実山椒の
塩漬けの美味しさをを知り、それから実を摘み始めるようになりました。
山椒の実の時期はここ新百合では毎年G.W.の頃、山はいつもひと月後です。
まだ小さくて柔らかく、未熟なものが美味しいので、6月に入ると実の成長が気になり、ソワソワしてきます。
毎日のように母に実の写真を送ってもらっては大きさを確かめ、今だ!という日には早朝から出かけ、ウグイスの声や啄木鳥が嘴で木を叩く音を聴きながら、量が多い年には日が傾く迄実の収穫を愉しみます。
今年の5月に訪れた時、新芽が出ていない木が2本あり、気がかりでした。
まだ寒くて芽を出すのが遅い木なのかなと思っていましたが、6月の実の収穫の時期になっても
葉も実も付いていませんでした。
何故突然その2本だけ枯れてしまったのかはわかりませんが、役目を終えてくれたのだ、と思うことにしました。
今迄沢山の方を喜ばせてくれてありがとう、お疲れ様、と心の中で声を掛けてきました。
山椒 (別名 房椒 ふさはじかみ) の実は食欲増進、消化促進の効果があるといわれています。
原産国日本、英名「ジャパニーズ・ペッパー」と呼ばれる、この緑色の愛らしく、かぐわしい山の薫り
あふれる美味を、ラグタイムのお客様にお届け続けることができますように、来年もまた、木立を訪れ
ます。