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RAGTIME(ラグタイム)

〒215-0021
神奈川県川崎市
麻生区上麻生3-12-10

営業時間 11:30〜22:00
定休日:月曜・火曜

玄米・白米と米糠

お肉の後にお出ししておりますご飯は、玄米1:白米3の割合で、炊飯鍋と呼ばれる米を炊くのに特化した土鍋で炊いております。

健康に良い食品とのイメージの強い玄米ですが、色々考えさせられることが多い食材でもあります。

(精米することのメリット)

①柔らかくて、甘く美味しくなる。

②精米という概念が生まれたのは元禄時代だと言われています。この元禄期以降、日本人の平均寿命は飛躍的に伸びたという説もあります。米は稲の種子です。種子は他の動物に食べられて、遠くに運搬・排泄してもらって広範囲に種族を繁栄させるのが主な使命なので、動物の消化器系で消化されないように、非常に硬いセルロースで覆われているのが一般的です。

つまり元禄期以前の日本人は米の栄養を十分に吸収できていなかったのではないかと考察することができます。もっとも当時以前の脱穀は現在の脱穀技術と比較すると、岩のようなもので叩き潰すといった非常に原始的な方法であったため、現在の玄米に比べると、かえって中の栄養素を吸収しやすかったのではないか、との見方もあります。

③米糠の部分には農薬が残留しやすい上、アブシジン酸・フィチン酸という有害物質が存在しているといったことを問題視する向きもあり、この部分が排除できる。

(玄米のメリット)

①精米によって排除される米糠の部分には数多くの有益な栄養が詰まっており、特にビタミンB1の宝庫です。元禄以降の参勤交代中の「江戸わずらい」(江戸詰め中、当時先進的な文化である白米を食べていると体調を崩すが、地元に戻り玄米を食べると復調する)や日清・日露戦争時の陸軍では戦死者の数よりも脚気の死者数の方が多かったということです。当時の兵士は一日6合の白米を支給されており、それ目当てで地方から志願する若者が多かったようです。当時の若者からすれば、憧れの白米6合ですから、おかずなんかそっちのけでお腹いっぱい白米を食べていたことでしょう。その結果地元にいた頃の、貧しいかもしれないけれどもバランスの取れた食事から一転、圧倒的なビタミンB1不足に陥ってしまったのだと考えられます。玄米にはこの有益な栄養が残されています。

②有害物質と言われるフィチン酸ではありますが、発がん物質・放射性物質・水銀を筆頭にした有害金属等を吸着して体外に排出する働きを持つと言われています。もっとも身体に有益なカルシウムをはじめとした様々なミネラルにも吸着して排出してしまうようです。このあたりが諸説が分かれる所以かと思われます。

以上双方のメリット・デメリットを鑑み、ラグタイムでは現在

①双方のいいとこ取りを狙える上、食感や味・香りの違いや変化を楽しんでいただけるので、上記割合にブレンドする。

②玄米の硬いセルロースを突破するため12時間以上浸水させた後、フライパンで乾煎りする。

また浸水によりアブシジン酸・フィチン酸の無害化も期待できる。

③無農薬無科学肥料米を取り寄せる。

科学肥料を使用しない米は、安全というだけでなく、科学肥料を使用した米に比べ、栄養が足りないので、自分で精力的に地中深くまで根を伸ばし張っていきます。(自分が生きるために栄養を取りに行かなければならない。)化学肥料を与えるとそこにしか根を張らないそうです。その結果、複数の地層から様々な養分を吸収し複雑味を付加し味が立体的に美味しくなります。(ワインでも全く同じことが言われます)また収穫前に台風等風雨によって倒れてしまうリスクも軽減されるようです。

④精米によって排除される米糠の部分を活用して糠漬けを作り、ご飯・味噌汁とともに糠漬けをお出しする。味噌とともに発酵食品である糠漬けには、植物性乳酸菌が含まれます。生きた 乳酸菌は腸内で悪玉菌の繁殖を抑えてくれ、腸の働きを活発にしてくれますので食事の後半に糠漬けを召し上がっていただくのは非常に合理的な考え方です。 腸内環境が整うことで、免疫力アップやがんの予防にも役立ちます。

妻が家用に育てていた糠床を引き継ぎ、冷蔵庫を利用して取り組み初めて一年が経ちましたが、未だにハンドリングは大変難しく、試行錯誤の真っ只中です。

若い頃は「糠味噌臭くならないように」などと西洋的な文化に憧れたりしておりましたが、この齢になって、古来からの先人の知恵というものの素晴らしさを改めて実感しております。