昨年よりコースにおきまして、スープに替えてお味噌汁をお出ししております。
狙いは下記の4つです。
・少しでもお腹の空いた状態でお肉を召し上がっていただきたい。(スープはお肉より先にお出ししていたので)
・和牛を使用した土鍋炊き込みご飯との好相性。
・植物性の蛋白質も豊富に摂っていただける。
・日本に昔から伝わる料理・文化にスポットライトを当て、「国菌」である麹由来の発酵食品を召し上がっていただくことで腸の活動が活発になり、お客様の翌日の消化や体調まで含め、いい状態を作り出したい。
元々は自宅用に毎年自家製味噌を仕込んでいたので当初はそれを使っていたのですが、量が足りず、ロットを増やして、昨年の2月に仕込んだものを現在は使用しております。
早いもので、今年も仕込みの季節が巡ってまいりました。
塩と麴と時間だけで、大豆がこんなに美味しくなる不思議を改めて感じるとともに、先人の知恵に脱帽です。
ちなみに、この味噌が褐変して味や香りがよくなる現象を「メイラード反応」といい、還元糖とアミノ酸(蛋白質)が反応して茶色く色づき、香ばしさや旨味を生成する反応です。
興味深いことに、肉が焼ける時も科学的には全く同じ現象が起きています。
このメイラード反応は150℃付近で最も活発に進むので、ラグタイムではお肉の火入れの第一段階は150℃のオーブンで焼き始めております。
小売店等で褐変した肉を見かけることがありますが、これもまたメイラード反応の仕業なので、つい購入を躊躇しがちですが、傷んでいるわけではなく、むしろ旨味は増しており、いつまで経っても褐変しない肉のように発色剤等を使用していない証拠でもあります。
またこの褐色物質の「メラノイジン」は抗酸化性があるので、メイラード反応によって食品としての保存性が高まるといったメリットもあります。しっかりと焼いた肉や、味噌等が良い例です。
メイラード反応の進行は温度や重さ・体積・形状によって変わりますが、味噌の場合は常温で約半年といったところで、今回仕込んだ分の完成は10月ごろの予定です。
冬から春、夏へと気温が高くなるのに合わせて、寒仕込みの麹菌の活動は、ゆっくり無理のないペースで活発になります。
我々も、発酵熟成が進んでくれるのをゆっくり待ちます。