ステーキでお出ししない部位は、細かく刻んで昆布・牛蒡・人参と共に炊き込みごはんとして召し上がっていただいておりますが、その際土鍋を使用してガスの直火で炊いています。
土鍋の中でも「炊飯鍋」と呼ばれる、米を炊くのに特化した伊賀焼の逸品を使用しています。
この「炊飯鍋」の魅力は
・直火部分は肉厚成形の仕上げになっており熱をしっかり蓄えて、穏やかに伝え、保温力も抜群。
・沸騰すると土鍋に入った釉薬表面の細かなヒビから小さな泡が連続して生まれ、食材を優しく包み込む。
・急騰、急冷しない多気孔な生地のため、食材の酵素が働く40℃〜60℃を長く保つのでゆっくり温まり、ゆっくり冷めることで食材に酵素が長時間作用して、旨味と甘味が増える。
・熱することで土鍋本体や蓋から多くの遠赤外線を発生させる。そのため炭火焼と同様に遠赤外線効果で食材の芯から熱を伝え、独特のふっくらとした柔らかさを生み出す。
・伊賀の粗土が木のおひつのように呼吸し、炊きあがったごはんがベタつかない。
等々です。
このように蓄熱があって熱伝導のスピードが遅いため、直火に当ててもなかなか鍋は温まらないので、お米にとっては「はじめチョロチョロ」。
鍋が温まりはじめると熱は加速度的に強まるので、火を止めた状態でも火力MAXの「中パッパ」。
あとは「赤子泣いても蓋」を取らなければ美味しい炊き上がりとなります。
200年近い伝統を持ちながらも、IH対応の土鍋や土鍋素材の内釜を使用した電気炊飯ジャーの開発など、時代に合った新しい取り組みを続けておられる、正に「温故知新」の素晴らしい作り手に、敬意を持って使わせていただいています。