グルテンフリー(小麦不使用)
小麦は古来から西洋を中心に、もちろん日本でも長きに渡って人々に食され、食糧不足を補い、様々な形に変わることのできる夢のある穀物です。
現代社会において、なぜこの穀物を摂取することを控えた方がいいと言われるのか?
諸説、様々な考え方があると思いますが、一つには1960年代以降のアメリカで行われた小麦の品種改良そのものに問題があったとの指摘があります。品種改良の結果小麦に含まれるグルテンの濃度は9%程度から13%程度へと飛躍的に高くなっています。
アメリカ・ウィスコンシン州で予防循環器科の医師であるウィリアム・デイビス博士は、現在の小麦品種は交配に交配を重ねている。異種交配をし、さらに遺伝子組換えがなされ、古来の品種とは似て非なる新品種である。つまり現在の小麦は中毒性が生まれ肥満症やメタボリック症候群を発症するように進化した、と博士は主張しています。その証拠の一つとして、アメリカでは小麦に含まれるグルテンというタンパク質にアレルギー反応し、小腸粘膜上皮に炎症が起きるセリアック病の患者数が、この20年間に急上昇し、全人口の1%を超えています。セリアック病に至らないまでも、腸管の「タイトジャンクション」と呼ばれる小さな継ぎ目に穴が空き、腸内の有害物質が体内に漏れ出してしまう「リーキーガット症候群」という症状もグルテンが原因の一つとの見方もあり、このことが認知症・花粉症・自閉症等の引き金になるとの指摘もあります。
オーストリア・モナッシュ大学のイェーランド博士(消化器病学)らの研究グループは、セリアック病患者に「脳の霧」と呼ばれる症状がしばしばみられることに注目したということです。集中力が散漫になったり、短期記憶が不正確になったり、時には言葉が出てこなかったりする症状で、軽度の認知機能障害と考えられます。博士らは11人のセリアック病患者にグルテンフリー食を指導し、12週後と1年後に注意力、運動機能認知機能テストなどの認知機能テストを行った結果、セリアック病によって起きる腸の病変が改善している患者では認知機能も改善していることが判明したそうです。今のところグルテンが認知機能を障害する仕組みは明らかではないようですが、グルテンに含まれるエクソルフィンというペプチドが脳のオピオイド受容体に結合することが動物実験で示されており、原因追求が進められているそうです。
またデンマーク工科大のリー・ハンセン博士らの研究チームは低グルテン食が腸内環境を変化させることにより、健康効果をもたらしていると明らかにしています。
研究チームはデンマーク在住の健康な中年60人を対象に低グルテン食(一日のグルテン量2g)と高グルテン食(同18g)を8週間接取したときの腸内細菌を比較したそうです。その結果、低グルテン食ではビフィズス菌やクロストリジウム科のドレア菌といった腸内細菌が減少するなど腸内細菌叢の変化が確認され、同時に腹部膨満感や体重減少等の臨床効果も認められたそうです。腸内細菌が変わった原因としてハンセン博士は低グルテン食では、食物繊維の供給源が小麦やライ麦から野菜や玄米オーツ麦等に変わった点を指摘しています。
今の日本では、様々な原材料に小麦が含まれているため、完全なグルテンフリーを実践するにはかなり困難な状況と思われますが、上記デンマークの例からも明らかなように、様々な要素の掛け合わせであり、個人差もあるので、完全なグルテンフリーを実践しないまでも、意識して減らすことだけでも大きな変化はあると考えています。
小麦を控えている方にも、そうでない方にも、安心して美味しく召し上がっていただけるように、「君に届けるカレー」は使用する原材料全てに小麦を使用しておりません。(醤油につきましては「キッコーマングルテンフリー一番搾り醤油」を使用しております。)