精製された砂糖不使用について
砂糖はブドウ糖と果糖から構成されるショ糖と呼ばれる糖質で、サトウキビやテンサイを原料に精製される代表的な甘味料です。2014年の日本人の国民一人当たりの砂糖の消費量は一日45gでイギリスの93g、アメリカの89gと比べ約半分です。
食品に含まれる砂糖の量はコーヒー飲料(小)に18g、サイダー缶に36g、練り羊羹100gあたり58g、チョコレートでは100gあたり62gと報告されています。料理では酢豚一人前で5g、カツ丼一人前で7gで意外と少ない数字です。最近のアメリカからの報告によれば、現代人が摂取する糖質の約90%はシリアル・焼き菓子・袋入スナック菓子・アイスクリーム等の「超加工食品」に含まれる添加糖だとのことです。
一方で砂糖の過剰摂取は2型糖尿病・肥満・虫歯の原因になるとして、世界保健機構(WHO)は2015年には砂糖の消費量を総カロリーの5%未満にするよう推奨しています。またイギリスは2018年、甘い飲料やアイスクリーム等砂糖含有量の多い食品に対する「砂糖税」を導入しています。
「砂糖漬け」の現代人に警鐘を鳴らすのが、砂糖が脳の報酬(欲求が満たされることによる快感)系に作用して、わずか数週間の摂取で依存性薬物と同様に「食物依存」が生じる、としたデンマーク・オーフス大学核医学のアン・ランダウ博士らの研究報告があります。研究チームは豚7頭に12日間連続で濃度が25%の砂糖水2リットルを1時間、自由に摂取させ、砂糖水の摂取前後PET(陽電子放射断層撮影)スキャンを行い、脳内のμオピオイド受容体とドーパミン受容体の発現動態を解析したそうです。オピオイドやドーパミンは幸福感をもたらす脳の化学物質です。その結果、脳の線条体、側坐核、視床、扁桃核、帯状回、前頭前野でμオピオイド受容体とドーパミン受容体が有意に減少していることがわかったそうです。
ランダウ博士はたった1回の砂糖水摂取で脳内のオピオイド受容体とドーパミン受容体が変化して、さらに多くの報酬を求める様になると考察しています。つまり幸福感を維持するには、より多くの砂糖が必要になり、そこで依存が発生するというわけです。
サトウキビ・とうもろこし・コカの葉等はそのまま食べても中毒性は無いのですが、精製された途端、中毒性を持つようになるということです。上記の例ですと一般的な精製された砂糖・コーンシロップ・コカインがこれに当たります。つまり精製された砂糖を食べ続けていると気づかないうちにコカイン中毒と同じような状況に陥ってしまい、ついつい過剰摂取になりやすく、ひいては糖尿病や肥満の原因となるというわけです。
もっとも商品としてのカレーは中毒に陥っていただきたいのですが(笑)