「美味しい牛肉を食べる!」
という時、どんな基準でお肉やお店を選びますか?
ラグタイムでは長きにわたってA5等級の黒毛和牛の雌にこだわってまいりました。
「とびきり柔らかくて甘い」からです。
29年間、お客様からのご感想も7割以上は「柔らかい!」でした。
ほとんどの日本人は牛肉選びの際に「柔らかさ」を最重視しているのだと思います。
私どももかつてはそうでしたが、現在は
「柔らかくて甘いだけの和牛」から、「柔らかいだけでなく、味わい深い、価値の高い和牛」に注目し、お客様にも知っていただき、思い出に残る味を味わっていただきたいと考えております。
日本が世界に誇る芸術品ともいうべき、脂が乗って、味がよく柔らかい肉質の「黒毛和牛」と、草食動物である本来の牛の素晴らしさを持つ「グラスフェッドビーフ」のいいとこ取りを、「鹿児島の耕作放棄地の草を経産牛の再肥育に活用する」という画期的な取り組みで目指されている「里山牛」と出会い、その素晴らしい理念と合理性に強く共感して2023年の後半より、この「里山牛」に徐々にシフトし、最近になって完全にこちらに切り替えました。
最大の理由は「味の濃さ」です。
穀物肥育の一般的な黒毛和牛は確かに甘さがあってたいへん柔らかいのですが、和牛本来の「味の濃さ」では「里山牛」に軍配が上がるように確信しております。「味の濃さ」の理由は、「経産のグラスフィニッシュ」にあります。
その他、以下5つの理由もあります。
①耕作放棄地での放牧により、野草がなくなることで有害鳥獣の住処がなくなり、近隣の農作物の被害が減少、また牛の排泄物が有機肥料として田畑に還元、再生した田畑で牧草や農産物を生産し、耕作放棄地を蘇らせるという、サステナブルで循環型の取り組みを応援し、日本各地の農村が抱える問題解決への一助となりたいと考えております。実際に商うだけでなく、このことを広く発信していきたいと考えています。
②グラスフィニッシュの和牛を使用することにより、味だけではなくより高い栄養価のお肉をご提供できます。
③肥育する際の飼料です。里山牛は耕作放棄地の野草と自家製飼料のみで肥育されており、海外から輸入される濃厚飼料・成長ホルモン剤等は一切不使用なので安心ですし、今般の円安のように為替等の国際情勢によって供給が左右される心配もなく、高額を投じて仕入れをしても国内にお金が循環するという利点もあります。
④私共が起業した30年前と比較し「A5等級」の肉質自体も変化しています。
⑤牛が感じるストレスが味に与える影響も考慮しております。結局は屠畜して食べてしまうわけではありますが、生きている間、ストレスフリーであることが、品質に与える影響は大きいと考えます。